アイペロ 第3話その7について

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あずささん帰還。ペリクレスの演説により、アテナイは開戦を決意。
 
 
ラケシスの采配:
ギリシア神話中、人間の運命を決定する三女神のひとりで、「割り当てるもの」の意味。人間の運命の糸の長さを割り当てる神です。運命の女神たちモイライは「ゼウスさえも彼女たちに従わなければならない」という伝えと「ゼウスの定めに従い運命を割り当てる」という、正反対の伝えがありますが、私は前者のほうがお気に入りなので、神として動画内に登場することはありません。
まぁ、ラケシスというと私はファイブスターのファティマ・ラキシスが真っ先に思い浮かぶのですが。

医者:
古代ギリシアの医学は、当時としてはなかなかのものだったようです。
特に、呪術等の超自然的な治療を排除し、臨床的経験を元にした治療を行ったコス派医学が有名です。
医学については、またいずれ。

ラケダイモンの要求:
実際には何回かに分けられて要求が行われたり、ペリクレスの家系にまつわる穢れを払え(≒ペリクレスを追放するなりしろ)という要求をしたりして時間稼ぎをしているんですが、結局アテナイが拒否したので省略。

メガラへの経済制裁:
これは、メガラがアテナイ領(正確にはアテナイの管理する聖地エレウシスの領域)を侵害した報復として、432年ごろ発効したのですが、発案者ペリクレスがこれの解除を譲らなかった理由は明らかになっていません。
また「戦史」でもあまり重要視されていないので、研究者によっては「トゥキュディデスは戦争の経済活動的側面を軽視している」と批判することもあるようです。
当時の喜劇のセリフ等でも、この経済制裁こそペロポネソス戦争の発端であるという描き方をされているので、少なくともメガラ人からかなり恨みを買っており、アテナイ人もそれを自覚していたのは間違いないようです。
確かに、ペリクレスがこの経済制裁にこだわった理由はよくわかりません。動画内ではペリクレスの意図は「ペロポネソスとの戦争を引き起こし、その勢力を削ぐため」ということにしています。
本編2-3を参照)

アッティカの面積と人口:
すでに別記事を上げたのでご確認を。

ボイオティア同盟:
彼らは、各ポリスがかなり結びつきの強い同盟を組んでいました。
ポリスごとではなく、ボイオティアの各地方から執政官を11人選出していたり、地方ごとの評議会があったりと、今でいう連邦制に近い政体でまとまっていたようです。

ペロポネソス同盟とボイオティア同盟の関係:
実は、それについて描かれた資料や書籍が見つかりませんでした。
「戦史」にも、どういう条約の下、両同盟が共に戦うようになったのか、詳しく描かれていません。
本編では仮に、「ラケダイモンとテバイが同盟→つまりはペロポネソスとボイオティアは一緒に戦う」という流れにしましたが、確証があるわけではありません。今にして思えば「同盟全体として攻守同盟を結んでいる」というほうが正しいように思います。ボイオティア同盟の前史(一時的にアテナイに支配されていた)的に考えて。

アテナイ艦隊とアテナイ人漕ぎ手:
ペリクレスは、毎年60隻の艦隊を訓練(とおそらく雇用対策)のために運用していました。三段櫂船の運用には非常に金がかかるので、平時にも毎年60隻もの艦隊を動かし続けるのは、資金力のあるアテナイにしかできなかったはず。
あと、この訓練に加わった漕ぎ手の数(約10,000)が、ペロポネソス戦争時アテナイが確保できたアテナイ人漕ぎ手の数なのではないかと、勝手に考えています。
理由としては、貧民への雇用対策ともなるものを、他国からの雇い漕ぎ手に任せることはないだろうと思うからです。
そうすると、アテナイ艦隊の漕ぎ手のうち、アテナイ人漕ぎ手は2割程度、他はアテナイの在留外人と他国から雇い入れということになります。

海軍戦力比3:1:
アテナイは自国海軍のほか、キオス等デロス同盟内有力ポリスの三段櫂船も動員できます。
逆に、ペロポネソス同盟側で常時艦隊を持っているのはコリントス他一部ポリスだけで、さらに持っていても、しばらく使っていなかったので補修を要するものでした(メガラ等)。
それらの戦力と、アテナイの海戦技術を考えると、当時地中海最強と言ってもいいのではないかと思います。
(まぁ、単純に最強と言っても、状況により変化していくものではありますが)

全艦隊の運用費:
単純に乗員一人の給料を一律1ドラクマとして、200名×300隻×30日=180万ドラクマ=300タラントン(1タラントン=6,000ドラクマ)。
実際には、船の修繕費や艤装を整えるため、富裕層が三段櫂船奉仕として別途費用を負担します(1年就航で1タラントン以上)。
船員や海兵、舵取り等の給料差も考えず(というか資料がなかった)、かなりいい加減な計算ですし、漕ぎ手の給料は半ドラクマ(3オボロス)の場合もあるので、あくまでも高めにみた目安とお考えください。

ピリッポス:
「戦史」には、このような名前の人物がこのような演説をした、という記述はありません。私の創作です。

アテナイの市壁:
城壁内の総面積の資料をまだ見つけていないんですが、アテナイの人口30万を一時的に収容できるだけの余裕はあった模様(市壁の全長26km)。
今でも海に近い一部の市壁は残っているみたいです。
市壁については再度動画で詳細を説明します。

ペロポネソス重装歩兵の主力は農民:
スパルタ正規兵を除けば、いわゆる農民が大半です。食料にダメージを与えるには、小麦の収穫期(5月ごろ)にアッティカに侵攻するのが最も望ましい(青いうちはいちいち手で刈り取る必要があり、効率が悪い。収穫期なら兵士の食料になるし、乾燥しているので最悪焼き払えばいい)のですが、当然侵攻する農民側も農繁期です。また、9月にはオリーブやブドウの収穫もありますので、あまり長く拘束すると、農業が立ち行かなくなる恐れがあります。

ペロポネソス同盟はまとまりに欠ける:
開戦までの同盟内の動きをみると、特にコリントスとラケダイモンの間には温度差が感じられます。コリントスはポテイダイアを責められているので、当然焦りますが、ラケダイモンはまた直接的な被害を被っていません。
これは他国(エリスやアルカディアなど)も同じです。

資金力がないと艦隊が揃えられない:
三段櫂船は建造(1タラントン以下)よりも維持(艤装や修繕)と、なにより漕ぎ手のほうに金がかかります。

強襲上陸:
三段櫂船は、実は強襲上陸が得意です。機動力が高く、喫水が浅く、なによりもともと陸上に乗り上げることを想定して作られているからです。

むやみに戦果を拡大しようとするな:
ペリクレスはもともと慎重な戦略を好みました。「本土に敵がきている間に敵をちまちま攻撃する」という持久作戦は性にあっていたでしょう。何より決戦というバクチをせずに済みます。

寡頭制を強要するな:
ラケダイモンは支配下の国の貴族や富裕層を国のトップとし、彼らを通じて国政を動かすやり方を好みました。

アテナイがペルシアを打ち破った:
アテナイとしてはマラトンの戦いの時、戦闘後にのこのこ援軍を出してきたラケダイモンを軽蔑していました。
また、サラミスの海戦こそペルシア戦争を左右した天下分け目の決戦と考えていたので、自分たちこそギリシアを救った第一人者と思っていたようです。

アテナイが勝っている点:
以下に大まかな比較を。素人の考察で、しかも長いので、流し読み程度にご覧ください。

①資金力
アテナイ:デロス同盟200カ国の資金+ギリシア最大ポリスであるアテナイ自体の収入があり、さらにデロス同盟の金庫に貯金があるため、資金はかなり潤沢。
ペロポネソス同盟:コリントス他の資金力はギリシアのポリスとしては高いが、アテナイよりかなり劣る。ラケダイモンはそもそも貨幣経済の浸透を抑えているくらいなので、資金的に頼りにはならない。
ボイオティア同盟:基本農民ばかりで、資金力的にかなり劣る。

②海軍力
上記のとおり3:1以上の戦力差(ボイオティアの海軍はないに等しい)。技術的にもアテナイが上

③同盟の強固さ
アテナイ:資金はすべてアテナイが握っている。デロス同盟諸国は不満があっても、ほとんどの国は貢納金支払いで軍事力(特に海軍)をアテナイに半ば委託している状態であり、容易に離反できない
ペロポネソス同盟:アテナイとの関係が各国ごとに違うため、思惑がかなり異なる。
ボイオティア同盟:かなり内部の結びつきが強く、強固な同盟。

④戦略
アテナイ:陸上決戦はせず、海上では圧倒的であるため強襲上陸は容易で、しかも攻撃箇所を選ぶことが可能。さらに、アッティカに攻撃を受けていれば、逆にペロポネソス同盟本国はガラ空きのため、耕作地を荒らすのも容易。城壁は堅固で、また陸戦兵力も決して少ないわけではない。デロス同盟諸国間の制海権も確保しており、分断は困難。
ペロポネソス同盟:ボイオティアと同盟しており、兵力はおそらくアテナイの2倍以上。しかし兵士は自作農が多く、いつまでも遠征を続けるためにはさらに資金を必要とする。またアッティカ周辺の制海権はアテナイにあるため、補給の面からもアッティカに長期侵攻は難しい。さらに、盟主であるラケダイモンは伝統的に長期遠征を嫌う(国有奴隷反乱を恐れているため)。
ボイオティア同盟:アテナイの同盟国であるテッサリアとアテナイを遮断する位置にあり、また国土はアッティカに近いため、侵攻は容易。しかし資金力に劣り、兵力も単独でアッティカを蹂躙できるほどではない。海軍はないに等しいため、直接的にアテナイの海上支配を脅かすことは不可能。

以上から、開戦前夜には、リスクはあるものの、アテナイは充分優勢である、と言っていいと思います。
「戦史」の記述でも、本編のこの段階ではアテナイ優勢との印象を終始与える形で、第1巻を終えています。

さて、この後はどうなるのやら。
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