古代ギリシアの農業と経済

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いやあ、今日も暑いですね。
動画のほうはちょこちょこ作っていた部分が私のミスでざっくり消えてしまって、
また最初からやり直しになってしまっております。
もう少し時間掛かるかもしれません。


さて、その報告だけでもあれなので、一冊本を紹介。


古代ギリシアの農業と経済古代ギリシアの農業と経済
(1988/02)
岩片 磯雄

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もう絶版……どころか出版社すら消滅しているのですが、私にとって大変良書だったので紹介。

著者の岩片磯雄氏は、九州大学の教授だった方のようで、西洋古代の農業に関するいくつかの著書があります。
(あまり詳しい経歴は調べられませんでした)

この本が貴重なのは、日本で数少ない(ほとんど唯一の?)農学研究者による古代ギリシアの本であるということです。
日本で出版される古代ギリシアの本のほとんどが歴史・文学・美術・社会学などの視点から見たものなので、政治・社会制度やペロポネソス戦争の通史、または考古学や彫刻建築に関しては割と本があるのですが、では肝心の庶民がどのように生産活動をし、どのように経済が回っていたのかという点にはほとんど触れられていません。

しかし、たとえばペロポネソス戦争でペロポネソス同盟がアッティカを荒らす戦術に出た場合、打撃を受けるはずの農民階級は、普段どのように生産活動を行っていたのか。また、実際にどのような打撃をこうむったのかを知らなければ、その効果がいかほどのものであるかを理解することは難しいでしょう。
また、アテナイが穀物の輸入超過国であるからといって、具体的にどのような事情で輸入超過になったのか、また国内ではどのように食料の生産活動が行われているかを知らなければ、ペリクレスがあのような戦略を実行した理由や意味を読み違えることにもなるでしょう。

本書は、やはり農学者の手になるだけあって、まずはギリシア(とその活動地域である東地中海・黒海)の地形・気候・土壌条件から解説を始めます。いわゆる地中海気候のもとでは、降雨量は温暖湿潤気候である日本と比べてはるかに少なく(約1/4)、また夏にはほとんど降雨が見られません。雨は冬季に集中して降り、しかも水分・養分を保持する能力が低い土壌の特性上、計画的な耕地運用が不可欠になります。そのような地域的特色に加えて、当時の農業における技術の限界が、ギリシアの生産能力を制約していました。
本書はそのような当時の状況を、ヘシオドスやホメロスをはじめとする当時の文献資料や現在の農学的研究の成果をもとに、穀物・果樹・畜産など多岐にわたって解説していきます。この稿を読めば、アテナイでの穀物輸入の重要性や、古代ギリシアにおいてブドウやオリーブが以下に重要な産物であったかが実感できます。特にオリーブやブドウ・そして家畜の重要性は、「お米の国の人」である私たち日本人には、本当に理解しがたい部分であると思います。

また、そのような当時の農業事情から、ギリシア人がどこに植民地を建設していったのか、そしてそれにはどのような意味があったのかを明らかにしていきます。ギリシアにおける経済活動の発達は植民地建設とは切っても切り離せないこと、またその展開に伴って貨幣経済が浸透していったことなどを読み解いていくと、これまで知っていた古代ギリシアの断片的な知識の関連性が浮かび上がってきます。

内容はやはり農学に偏っており、また海外の研究に多くを依っているものの、古代ギリシアを歴史として学ぼうという人にとっては一度読んでおいて損はない本です。
ただ、残念ながら普通の市民図書館などにはまず置いていませんし、中古でも5000-6000円ほどするのが悩みの種ですね。私は思い切って5000円で買ってしまいましたが、十分に元はとれたと思っています。
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